後継者の問題は深刻になっていますが、解決方法の1つに養子縁組があります。では、誰とでも養子縁組が出来るのでしょうか?また、その効果は?
もくじ
養子が出来る人と出来ない人
縁組は誰とでも組める訳ではありません。親になる人(養親)は子になる人(養子)よりも年長者かつ20才以上でないといけませんし、親族同士で養子縁組をするときも下の世代(卑属)でないといけません。(父母や祖父母、叔父叔母を尊属、子や孫、甥姪を卑属といいます。)
ただ、血族同士でないと組めないわけではなく、赤の他人と組む事も何ら問題はありません(当人同士が良ければ…)し、年上年下が守られていれば、2、3才程度の差でも、実の弟や妹でも縁組は出来ます。
また、夫婦の場合に養親には2人ともがならないといけないわけではなく、夫婦の片方だけ親になることも出来ます(養子になる者が未成年者の場合は、原則夫婦でならなければなりません)。
養子縁組をした場合の効果
養子縁組をすれば親子(法定血族になる)になりますので、相続があったときに相続人になりますし、親子ともご存命の間は血縁のある親子と同じように扶養義務があります。ただ、全ての効果がもとから血縁関係がある時(自然血族)と同じではなく、例えば実親子の親が他の方の養子になった場合に養親と養子の子(養子縁組前の子)は、法律上も血縁関係にはなりませんので、養子が先に亡くなって次に養親が亡くなった場合は養子の子は相続を引き継ぐこと(代襲相続)が出来ません(養子縁組後の子は代襲相続します)。これと似たような事例では結婚したときの連れ子も同じく婚姻だけではその子とは親子関係が形成されず、婚姻届とは別に養子縁組をしなければ相続人にはなりません(ただし、養子と養親の血族は親族関係になる)。
養子縁組をやめたくなったら
養子縁組をしたときは、扶養するつもり、相続させるつもりだったけど途中で不仲になるということもあります。そんな時に「じゃあ、解消!!」と、出来るのでしょうか?また、亡くなられた後に、養子縁組を解消出来るのでしょうか?その場合は、相続した財産はどうなるのでしょうか?
両当事者がご存命の場合は話し合いたいで解消する事ができます(協議離縁)。また、夫婦で成年者と養子縁組をしていた場合は、夫婦の一方とだけ離縁する事も出来ます。気をつけなければいけないのが結婚相手の連れ子と養子縁組をしていた場合に離婚をしたときは、離婚届とは別に離縁届も出さなければ連れ子との親子関係が継続したままだということです。
次に、養親子の一方が他界している状態での離縁ですが、これは出来ます(養子側からのみ。養親の親族からは無理です)。ただし、裁判所の許可を得なければなりません。
「まぁ相続も終わったし、そのままほっといても良いじゃん!」と思っていらっしゃる方がいるかもしれませんが、前述しましたとおり、“養子と養親の血族は親族関係になる”ので、養親に実の子がいた場合には扶養義務が発生する事もあります。ちなみに扶養義務は直系血族と兄弟姉妹に対してだけになります。
まとめ
後継者の問題を養子縁組で解決することは可能です。ただ、他の血族の方との親族関係も形成されますので、家族の方との話し合いや相性が大事になってくるかもしれません。