宅建業の免許をとる時に、実際に営業する場所とは違う所在地で申請をしようと考える方もいらっしゃるかと思います。

宅建業の免許申請は、本店の登記された所在地が宅建業申請の本店になるからです。
ただ、本店と従たる事務所の両方を申請すると、事務所の要件、専任の宅地建物取引士の設置要件(5人に1人)、分担金(供託金)が両方に要求されますので、正直きついです。なので、冒頭のような考えが出るのですが、違法になるので思いとどまりましょう。

では、この場合良い方法はないのか?
あります!
実際の営業場所で全ての要件を調えれば良いのです。

もくじ

  1. 方法その1:本店を実際の場所に持っていく
    1. 事務所要件はどうなるか?
    2. 政令使用人は必要か?
    3. 専任の取引士はどうなるか?
  2. 方法その2:新しく法人を作る
    1. 新法人の事務所要件はどうなるか?
    2. 新法人の政令使用人は?
    3. 新法人の専任の取引士はどうか?
  3. まとめ

方法その1:本店を実際の場所に持っていく

事務所要件はどうなるか?

本店を実際の場所に持っていく(本店移転登記をする)とその場所を本店として申請できるようになります。

この場合、その法人で他に兼業があっても特に事務所を分けたりする必要はありません。ただ、新規申請中に本店を移転すると申請取り下げになるので申請前に移転をしないといけません(登記もです)。

政令使用人は必要か?

本店に代表者の方が常勤していれば、特に必要ありません。

専任の取引士はどうなるか?

他に兼業がある場合、専任の取引士が他の法令による専任を要する業務に就いている時は注意が必要で、兼任できるものと出来ないものがあります。また、兼業のある法人を本店として申請するときは従業員も多くなるかと思いますが、5人に1人の従業員は“宅建業に従事する者”の数になり、両方に携わっている方は宅建業に比重が多い方が人数に入ります。

方法その2:新しく法人を作る

新法人の事務所要件はどうなるか?

本店を移転すると、既にしている事業に支障が出る可能性もあります。そこでもう一つの方法としては“新しく法人を作る”です。実際の営業場所を本店とした法人を作れば、元々ある法人は移転する必要がありません。

しかし、元々あった会社では都合が悪いために作ったので、既存の法人のある所在地から離れてしまいます。そして代表者の方が既存の法人の代表取締役を兼ねている場合はどちらかが非常勤という事になります。

新法人の政令使用人は?

先程の場合で、代表取締役が他の法人で非常勤になることが出来ない場合は必要になります。とはいえ、政令使用人は専任の宅地建物取引士も兼任出来ますから、専任の宅地建物取引士になられる方が政令使用人を兼ねられるなら新しく人を雇う必要もありません。

新法人の専任の取引士はどうか?

新しく法人を作った場合はその法人の従事者数に応じた専任の取引士の数がそろっていれば良いです。ただ、専任の取引士には専従性が必要ですので、既存の法人に在籍していたり既存の法人と掛け持ちは出来なくなります。既存の法人と兼業で宅建業を始める場合は専任の取引士は他の法令による専任を要する業務と兼任が出来るものもありましたが、別法人だと出来ません(グループ会社でもダメです)。

まとめ

個人的には、申請に関しては別法人を設立する方がいいのではないかと思います。専任の取引士の他との兼任も引っかからないですし、変更なども新法人に変更がある場合のみすればOKです。既存の法人で兼業をした場合、役員の変更や事務所の増床、減床をする可能性も増えると思います。その場合、その都度変更の届出をしなければいけません。

注:この宅建業の内容は更新時の大阪府の手引きを基準にしており、ご覧になられている時点や他の都道府県では内容に相違がある可能性があります。